由「あの男…やっぱいけ好かんな」
隼「なんか、すっきりせぇへんな」
二人の声が被った。
比「…で?お前はどうすんねん、光輝」
光「…どうもしません」
比「は?」
光「何も出来ません…俺には」
比「何でやねん」
光「俺の一方的な気持ちで、何の不自由も無い生活を棄ててくれなんて、…俺にはそんな資格…」
比「…資格?なんやねん、それ。家族でいる事に資格なんかいるのか」
光「…でも」
比「でもちゃうわ。何で何もしたらへんねん。何でそない簡単に諦められんねん」
光「諦めるしか…ないじゃないですか」
比「何で?」
光「…莉依が幸せだって言ったから。俺が居たらあかんのですよ」
比「…」
しばらくの沈黙の後、比呂が吐き捨てる様に言った。
比「…お前のそういうとこ、好かん」
光「…」
比「遠慮して、周りの目ばっか気にして、自分の事は後回し。…自分を大切にしてない奴に何されても嬉しないわ」
光「…だったらどうすればいいんですか」
比「俺だったら離さへんよ。それが自分の我が儘でも、取り返す」
比呂らしいな。
けど、光輝の言い分もわかる。
…そして、やはり兄妹。
光輝と莉依は同じだ。
人の事ばかり優先させ、結果として時に大事なものを見失う。
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