まだ小学生半ばの俺と、幼稚園に行くのを楽しみにしていた莉依。
春が、莉依にとっては待ち遠しいはずだったのに…
光「…父が連帯保証人になって借金を。母は幼い莉依を連れ出ていきました」
お兄と一緒に行く、と駄々をこねた莉依を諭したのは俺だった。
また家族4人で暮らせる様になるからと言った父の言葉を信じていた。
光「俺はそれから親戚を転々として。父とは数年ほどして連絡が絶えました」
きっと、必死だったんだと思う。
借金返済の矛先が俺に来る事は無かった。きっと真面目にコツコツ返しているんやろう。
けど、いつかまた会った時は手を貸したい。
そんな思いもあってこの仕事に就いた。
…何回か俺は莉依を捜そうとした。
けど思った以上に手がかりが無く、数年前になってやっと人を使って調べてもらう事になった。
…不思議な事に、消えてしまった様に、莉依の手がかりを掴む事は出来なかった。
死んでいるのかもしれない、…もう半分諦めてしまっていた。
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