比「そう。捺生は家を出てて、偶然同じ場所に婚約者である翔央が居る事になってしまった」
捺「だから、何や」
比「つまり、お前が見つかるリスクが高まったって事や。しかも翔央の家から」
雅「政略結婚させる相手に息子がこんな店で働いてるなんて、知られたくないやろな」
由「…だから、慎さんはその前に翔央を排除したって事?」
慎「…」
捺「…そうなん?」
比「理由はもう一つ。そもそも、捺生の親父は捺生がここに居る事を黙認してたらしい」
捺「…は?」
比「慎さんが、手を回してた。きっとこの店が開店した当初から。…違いますか?」
慎「…そこで俺に振るんや」
比「真実はあんたしか知らんから」
はぁ、と溜め息が漏れる。
墓場まで持って行くつもりやってんけどな、と呟き慎さんが話し始めた。
慎「…藤原さん、…あ、捺生の親父の事やねんけど。捺生への干渉を止める代わりに何かあった時は協力するって約束しててん」
捺「いつ…そんな」
慎「5年…になるか。……別に俺も軽い気持ちやってん。協力って言っても大した事じゃなかったし、…今まではな」
まさか頼まれた捜し人が自分の店に飛び込んで来た女の子だとは思わなかった、と慎さんは苦笑いを浮かべた
.



