比「…けったいなモンが飛び込んできたもんやな」










穏やかな顔で寝息を立てる翔央を眺める。



こう見るとただの女だ。











…思えば全てこいつが店に入って来てから。




それまでは運良く上手い事はまっていた歯車が崩れ始めた。




それはコイツの意図しないところで。



















比「…何か間違ってないか?」













慎さんがコイツを諦めた理由が、店の存続?



それよりもっと考えられるのは…














比「…捺生」














はっきり聞いた事は無いが、捺生は家から逃げている。




その捺生の婚約者だと言う翔央が店にいる、捺生と同じ境遇…つまりコイツも家から逃れている。




…それって、冷静に考えて捺生の首を絞める事にならへんか?




見つかるリスクを高める事にならへんか?




慎さんが捺生と翔央の関係を知ったとしたら?




捺生を守るためだったら?






















比「店と翔央、じゃないかもしれない」
















天秤に掛けられたのは、本当は。












比「翔央と、……捺生…?」














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