コイツの話はそれなりに辻褄が合うのかもしれない。
けど、納得いかない。
俺がよう知る慎さんは、そんな状況に置かれたら身を呈して仲間を守ろうとするだろう。
何故なら慎さんにとって、何より大事なのは仲間で、店はそれを一つにする手段に過ぎないのだから。
翔央が例外なのは何故?
女だから?
…いや、絶対に他に何かあるハズや。
『比呂さん?』
比「…そう言えば、何でお前、光輝のとこにおってん?」
『あ…っ、と』
比「晴樹と揉めた?…や、それなら出てくのは晴樹やな。…凌に手でも出されたか」
『な…』
比「その顔は当たりやな。でも何で光輝?確かに一番害はないやろけど」
『捺生さんに、連れていってもらって』
比「捺生?…目撃されたとか?」
『はい、まあ…』
比「…で、間に入った捺生がお前を光輝の家へ連れて行ったと」
『はい…』
比「…」
翔央の店を休んでいた、…正確には晴樹と二人で住む家すら出ていた期間、そしてその後の事は詳しく聞いていない。
ただ、翔央も捺生も普通な顔して店に出るようになったから、まあ解決したんだろうくらいに。
そもそも翔央が来なくなった理由は、捺生の女嫌いだと考えられた。
以前、捺生に女だと言う偏見だけでコイツを見てやるなと言ったのは自分だ。
そんな風に捺生に言っといて何だけど、捺生が女とよろしくするなんて有り得ないとも思った。
…なのに、予想以上の結果。
何でや。
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