章平。
俺にとってお前の代わりは他には居ない。
雪「良いから雅くん出しなさいよ!」
由「黙れ。そして一生アイツに近づくな」
ずっとこのままでいられるなんて思ってない。
二人の夢だって、ただの口約束だと分かっている。
だけど、
雪「どけっ…!!」
由「…ッ」
キラリ光るものが視界に入る。
危ない、頭ではそう分かったのに、体は固まって動けない。
俺らしく、ないな…
雪「…あ」
由「…?」
無意識に閉じた目をそっと開けると、前にデカい背中があった。
由「…しょう、へ…い?」
雅「大丈夫やで」
何が、そう聞こうと口を開くと、雪乃の叫び声と何かが落ちる金属音に掻き消された。
雪「わ、私…私っ…」
雪乃が俺に向けたカッターの刃先を握ったんだろう。
章平の手が、じんわり赤く染まっていった。
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