まだはっきりしない頭でゆっくり目を開けると、由樹さんの顔越しに天井が見えた。
…どういう状態や?
『…あの?』
由「…誘ってんの?」
誘ってる…?
何に?
『?』
由「そう言う顔とかさ…狙ってやってんなら、尊敬するけど」
『どういう顔…』
してるんですか、と問いかけようとすると急に由樹さんの顔が近づいた。
『なっ何…』
由「計算出来る奴ちゃうもんなぁ?翔ちゃんは」
吐息混じりの声が耳に掛かる。
尋常じゃない状況に慌てて起き上がろうとするとそれが適わない事に気づく。
『由樹さん…ちょっと離して…』
由「えー…イヤ♪」
『イヤじゃ…なくて…っ』
由「本当に嫌なら突き飛ばせや」
『くっ…』
この細い身体のどこにこんな力があるんだろう。
私が弱いだけなんやろか。
どうにもならずもがく私を見下ろし由樹さんはふっと目を細めた。
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