【短】夏秘め natsu-hime


「なんよぉ、拓。モテてらいしょ」



やり取りを聞いていた彼の友達が、後ろから茶々を入れてきた。



「お前ら、うっさいんじゃ!」



彼は照れ隠しのように怒鳴って、またあたしの方に向き直る。



「そっかぁ。タウンナビかぁ。
あんな小っさい写真、見てくれてる人いてたんやなぁ」



そう言って、白い歯を見せて笑う彼。



……やばい。脳内彼氏なんか比較にならないくらい、やばい。


生の彼の笑顔は、あたしの心臓に豪速球を打ち込んでくる。



「で、君って、この店の子なん?」


「えっ、あ、はいっ。今日はむりやり店番させられてて……」


「ほんじゃ、いつも店にいてるわけちゃうんか」


「え?」


「残念やよぉ。また来ようと思ったんやけど」


「え……」



ええぇぇーー?