「……へ? なんで俺の名前知ってんの?」
「あの、あたしっ、“タウンナビ”で大倉さんを見て、大ファンになって、それでっ」
「あぁー」
納得した、という感じで、深くうなずく彼。
タウンナビというのは、無料で配布されてる地域情報誌のこと。
その中の“イケメン高校生”というコーナーで、あたしは半年前、彼を見つけたんだ。
“市内のK高校2年。大倉拓くん”
制服のブレザー姿の、その写真を見て以来
彼はあたしの憧れの人だった。
いや、もうこの際だからハッキリ言う。
彼はあたしの、脳内彼氏だった。
だって全部が理想そのもの!なんやもん。
ちょっと日焼けした肌も、ちょっとチャラいけど人懐っこい笑顔も。
そして高校生……
つまり“オトナ”ってとこも。
あたしが理想とする恋の相手はこの人しかいない。
そう思いこんで、脳内デートすること半年。
まさか現実に出会うなんて、どーよコレ!



