【短】夏秘め natsu-hime


陣はスイカを口の中に入れたまま、ぴたりと静止した。



「それでね、あたし――」


「フラれたんけ?」



なぜかムスッとした表情の陣。



「え? えっと……
“別れよう”って言ったんは拓ちゃんやけど、原因はあたしにあるっちゅーか」



「ふーん。ま、ええんちゃうか。
お前が嫌がってんのに無理やりキスするような男やしな」



陣が拓ちゃんを悪く言ったので、あたしはついカチンときて、



「別に、いつもあんな無理やりだったわけちゃうもん! 普段は優しくしてくれたもん!」



と言い返してしまった。



「はあぁ!? ほんじゃお前、いつもあいつとキスしてたんかよ!?」



すごい勢いで陣が逆ギレしてくる。



「なっ…何よ、アカンの!?」


「アカンわ! アカンに決ってるやろが!」


「なんでっ――」



「お前は俺の女じゃ!!」