家に帰ると、とたんに緊張の糸が切れたのか、高熱が出た。



「まったくもう。
夏風邪はバカしか引かんって言うけど、ホンマやな」



ブツブツぼやくお母さんに、氷枕や薬を用意してもらい、あたしはひたすら眠った。



寝て、寝て、寝まくって。
たまに汗を拭くために起きて、また寝た。


“死んだように眠る”っていうのは、きっとあんな状態を言うんだ。




目を覚ますと、部屋の中は薄暗かった。


雨の音がする。

時計の針は……6時半。


朝の6時なのか、夜の6時なのか迷っていると
リビングの方からサザエさんのオープニング曲が聞こえてきた。


……夜か。


てことは、ほぼ丸一日、寝てたんや。



おかげで熱はすっかり下がったらしい。


あたしはベッドを下りて、のそのそと廊下に出た。