【短】夏秘め natsu-hime


やっぱりあたしがまだ中1やから?


でも、自分で言うのも変やけど、あたしは中1には見えないと思う。


背はクラスの女子で一番高いし

顔も大人っぽいって言われる。


髪は染めてるから明るめの茶色。


当然、先生に注意されるし、先輩に目をつけられるけど、黒くする気はございません。



だってここで妥協したら、あたしもただの田舎の中学生になってしまう。


それは嫌。

絶対に嫌。



あたしは、ドラマや雑誌のような出来事が、自分の身にも起こるって信じてるんだ。



オトナの恋。


今のあたしを塗り替えるような

強烈な恋が――…




「――すんませ~ん」



入口の方から男の人の声がした。



「はい」


陣が立ち上がり、様子を見に行く。


お客さんかな?

そう思ってあたしも近づいて、


そして、息が止まりかけた。