「あーっ、紗里ちゃんやぁ!」



あたしの存在に気づき、手を振りながら駆け寄ってくる玉木さん。



彼女の肩越しに、あたしと陣の視線がぶつかる。


でもそれは、一瞬のうちにそらされた。



「紗里ちゃんも来てたんやぁ、浴衣かわいい~……あっ、ごめん、彼氏と一緒やったん?」



拓ちゃんに気づいた玉木さんが、申し訳なさそうに口元を押さえた。


だけど礼儀正しい彼女は、そのまま立ち去ることはせず。



「はじめまして。紗里ちゃんと同じS中学1年の、玉木サトコです」



ぺこりと頭を下げて、そう言った。



あたしの顔は、たぶん一気に青ざめたと思う。



「1年……?」


眉をひそめる拓ちゃん。


「ち、違……っ」


オロオロするあたし。



どうしよう。

バレた。絶対バレた。


完全にもう、終わりや――…




「紗里先輩」




……え?



割って入ったのは、
陣の声だった。