――『そんなデカい手で叩かれたら痛いやんけ、巨大女!』



いつもあたしのこと、あんな風に言ってたくせに……


今、手首をつかんでいる陣は、あたしの力じゃビクともしない。



「陣、痛い」


怖い……。


「離して、陣」


「……あんなオッサンの、どこがええんなよ」



陣……?



「何がオトナの恋じゃ。
そんなにヤリたいんやったら、勝手にヤラれてまえよ!」


「じ……」


「俺の気持ちも知らんとよぉ!」


「陣、待っ……」


「俺は昔から、お前のことっ――」


「陣っ!!」



あたしの叫びが、陣の言葉を止めた。


……聞きたくなかった。

怖かった。



陣は奥歯を噛みしめて、悔しそうな、泣きそうな顔で


「もうええ」


と言い捨て、部屋を出た。