「よし、お化粧完成~」
マスカラのふたをキュッと閉めて、拓ちゃんの妹さんが得意げに言った。
鏡を見るとそこには、少し大人っぽくなったあたし。
でも拓ちゃんは気に入らないらしく
「もう気ぃすんだやろ。お前ら、そろそろ出てけよ」
と、妹さんの背中を押し始める。
「え~っ。もっと紗里ちゃんとしゃべりたいのに~」
「アカン。人の女をオモチャにしくさって」
拓ちゃんは友達や妹さんを部屋から追い出すと
ふぅっと一息ついて、ベッドに座った。
「紗里。おいで」
あ……呼び捨て。
今、胸がキューンって鳴った。
おずおずと拓ちゃんの隣に腰を下ろすあたし。
拓ちゃんのベッドやぁ……。



