【短】夏秘め natsu-hime


拓ちゃんのおうちは、畑に囲まれた木造の平屋建てだった。



「お~っ! この子が拓の彼女け~!」



冷房のきいた部屋に入ると、そこは拓ちゃんが言ったとおり、友達のたまり場になっていた。


みんな見た目は怖そうだけど、優しく迎えてくれてホッとした。



「若いなぁ。いくつ?」


「中3」


あたしが答える前に、拓ちゃんが答えた。



「お肌ピチピチや~」



そう言って近づいてきたのは、派手だけどキレイな顔立ちの女の人。


どことなく拓ちゃんに似てるかも…と思っていると、


「それ、俺の妹。高1」


と拓ちゃんが言った。



「紗里ちゃん、スッピンやろ? あたしがお化粧したげるわぁ」


そう言ってあたしの手を取る妹さんに


「あんましオモチャにすんなよ。俺の女なんやさけ」


と拓ちゃん。



俺の女、だって……。


ふたりきりのときは、そんな言い方しないのに。



男の人って、人前だとちょっと強くなるのかな。


なんか……新発見。

ちょっと新鮮かも。なんて。