わけわからん。 なんであたしが陣に、あんなことを言われなきゃいけない? なんで陣なんかのせいで、みじめな気分にならなきゃいけないわけ? なんで陣のことを 怖いなんて……。 「あぁー…くそぉ」 ひとりになった廊下で、あたしはしばらく立ち上がれなかった。 「アホ陣……」 情けないあたしの声をかき消してくれる、セミの大合唱。 窓から吹きこむ風が、生ぬるい。 陣に触れられた場所が……、 熱い。