【短】夏秘め natsu-hime


教室に入ると、クラスメイトたちのおしゃべりが飛び交っていた。


みんなずいぶん日焼けしてるけど、それ以外は特に変化なしって感じだ。


男子たちは猿みたいに、教室中を走り回っている。



……てか、

同級生の男ってこんなにガキやったっけ?


ヒョロヒョロの体つきも、
高い声も、
落ち着きのない動作も。


全部うざい。

気持ち悪い。



あー……。なんか

学校、つまらんなぁ。


早く帰りたい。


早く帰って、
拓ちゃんに会いたい……。





チャイムが鳴ると、体育館に移動して全校集会がひらかれた。


長ったらしい校長のスピーチの間、

隣のクラスの列では、陣たちのグループがムダ話ばかりしている。



――『玉木さんが陣くんのこと好きって……』



もったいないなぁ、玉木さん。

あんなのの、どこがええんやろ。



「……ん?」



そのとき、鼻の奥に違和感を感じて、あたしはハッとした。