「見て。玉木さんと陣くん、並んで歩いてるで」
近くにいた女子たちが、コソコソと話してるのが聞こえてきた。
「やっぱり玉木さんが陣くんのこと好きって、ホンマなんかなぁ」
「あのふたり、クラスで席も隣やしなぁ」
……は……?
玉木さんが、
陣を、好き?
あの陣を?
「……嘘やろ」
無意識に口の中でつぶやいて、あたしは笑ってしまった。
だって嘘に決ってるやん、そんなの。
玉木さんはみんなの人気者。
頭いいし、スポーツできるし。
爽やか天然モテ系やし。
ひそかに乳デカいし。
そんなスペシャルな女子が
アホ陣なんか好きになるわけないやん。
どうせただの噂……。
……まぁ、
別にどうでもいいか。
あたしには拓ちゃんがいるし。
子どもの恋愛なんか興味ないしね、うん。



