音を奏でて~放課後の音楽室~

そっと私の頭に触れ、家に上げてくれた。


リビングに入る途中、何気なくピアノに目をやる。


譜面立てには、クラシックの楽譜。


先生は、前に進んでるんだ。


私だけだ、なかなか前に進めないの。


「優音、どうした?」


先生が私の視線を追っていく。


「少しだけな」


そう言ってそのままピアノに近づき、楽譜を閉じた。


「俺だって、まだまだ逃げてる」


私のところに戻ってきた先生は、さっきと同じように私の頭に手を置いて、ソファーに私を座らせた。


「何飲みたい?」


「ブラックコーヒー」


「ちょっと待ってて」


私の頭をなで、先生はキッチンに向かった。