音を奏でて~放課後の音楽室~

自分の部屋に戻ってピアノの鞄を取り、家を出た。


ほんとは今日、ピアノ教室なんてない。


でもあの場所にいたら、きっと花音に酷い言葉を言ってしまいそうで。


家から離れるように、必死に足を動かす。


「これからどうしよう」


頭と心を、どこかで落ち着かせないと。


でも、どこで?


みちる先生のところは迷惑がかかるから行けないし、じゃあ、内田先生のところ?


でもそれじゃあ、先生に甘えることになる。


先生も必死に頑張ってるのに、私だけ甘えることは出来ないよ。


それでも私の足は、内田先生の家に向かって行く。


「優音、どうした?」


先生の家のチャイムを押すと、少し驚いた表情で私を迎え入れてくれた。


「先生・・・」


「おいで」