音を奏でて~放課後の音楽室~

「ええ。花音も、お姉ちゃんと一緒に出掛けたいって言ってたし」


私に笑顔を向けるお母さん。


「そっか。じゃあ、楽しみにしてるね」


それだけ言って、リビングを出た。


「あーあ。こんなこと言うために、あそこにいたわけじゃないのにな」


今出てきたドアに背中をつけて、ため息をつく。


結局、自分のことは何も言えなかった。


「ダメだな、私」


そのまま階段を上がり、自分の部屋に入りベットに倒れ込む。


そのまま私は、深い眠りについた。


それから毎日お母さんとお父さんの分もおかずを作り、話を聞いてもらおうとリビングのソファーに座っていたけど、二人から出てくるのは花音のことばかりで、どんなに私が二人の近くにいても、二人にとって私の存在は無いに等しかった。


「先生、一緒に弾こう」


そんな日が続く私の癒しは、先生の家。


ソファーに背中をつけてスコアを読んでいた先生の手を握って、ピアノまでの少しの距離を歩く。


「かえるのうた、しよう」