音を奏でて~放課後の音楽室~

私だって落ち込んで、ご飯も食べれなくなって、病院に行ったんだよ。


あのときの気持ち悪さと胃の痛さが、またよみがえってくる。


「花音が帰ってきたら、どこかに行こうか」


「そうね。あの子、最近外に出てないから」


私がいるのに、二人の話に出るのは花音のことだけ。


ねえ、私は?


ここにいるのに、どうして何も言ってくれないの?


そっとソファーを立つ。


早くこの部屋を出たい。


そう思ってドアに手をかけて、ハッと止まった。


ここで逃げたら、今までと何にも変わりない。


逃げちゃダメだ。


「ねえ、お父さんお母さん」


すうっと息を吸って、必死に声を出した。


「私も、花音と出掛けるとき一緒に行っていい?」