音を奏でて~放課後の音楽室~

「ただいま」


それからお母さんが帰ってきたのは、8時を少し過ぎたころ。


「あっ、おかえりなさい」


リビングにいる私を見たお母さんは一瞬大きく目を見開いた。


「お父さんは~?」


それでもすぐに、キッチンに入ってしまった。


「まだだよ。あの、ロールキャベツあるからよかったら食べて」


キッチンに顔を出して、緊張しながらもお母さんにそう言う。


「そうなの?」


お母さんが鍋を覗く。


「不味くはないと思うから」


「うん。ありがとう」


「うん」


小さくうなずいて、またリビングのソファーに座る。


「ありがとう、か」