壁にかかっている時計をみると、残り数分でチャイムがなる。




まあ、私はいつも遅刻していくから関係ないか。



朝早く起きるのは、たしかに得意なんだけどテレビをついつい見ちゃうから遅刻するんだよ。





「・・・藍華遅刻するよ?」




「那智君も遅刻しちゃうよ」





私の視線の先を見た那智君が時間に気付き話しかけた。


だが、寮に残ったほぼ全員を行かせるには那智君が行かなきゃ話しにならない。



「ねぇ、なんで行かないの?」




「行ったって、何にも楽しくないから」




「・・・学校でなんかあったの?」





ダンッ!!




「ひゃっ!?」





私が言い終わるか終わらないかのうちに私は那智君に壁に押さえ付けられた。




「那智く「藍華さぁ」





ビクッ




那智君の声が低くあまりにも冷たい表情だったから、少し怖いと思ってしまった。





「あんまりでしゃばると、酷い目にあわせるよ?」




那智君はそういうと私の手から自分の手を放した。





「早く学校行ったら?」





背を向けたまま那智君は言った。


その声は、いつもと同じ声だった。





私はくるりと入って来たドアを開いた。




「那智君っ!!」





私が大きな声で那智君を呼ぶと、那智君は振り向いてくれた。



あ、よかった。


振り向いてくれたよ。




「私、絶対に寮の皆を学校に行かせるから!だから那智君も、何されようが絶対連れてくからね!?」





私がそういうと那智君は驚いたような顔をした。




「だから、覚悟しときなさいっ!!寮長命令です!!」





私はそういうとバンッと乱暴にドアを閉めた。





「・・・面白い奴(笑)」





私がでていったドアを見つめて那智君がそんなことを言ってたのは、知らなかった。