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 部屋に戻ると、いつものようにおかっぱから電話がきた。


 ――あ、拓海? 聞いてちょうだいよ。今日、大変なことがあったのよ。


「なんだよ」


 ――それがね、納豆ちゃんに嫌いって言われちゃったのよ。


「なんだ、普通のことじゃないか」


 ――普通じゃないわよ。今日タキシード着たり香水付けたり、気合入れてデートに行ったんだけどね、いつも通りのオレが好きだって言われたのよ。


「ああ、そうか」


 とうとうおかっぱは耳までおかしくなってしまったか。ここはほっとくことにしよう。


 ――アラ? 拓海、なんか元気ないわね。マネージャーとなにかあったの?


「なにもないよ」


 あいかわらず、おかっぱのするどさには恐れ入る。

だけど、北村麗華となにもなかったのは本当だ。

なにかあったと言うなら、拓馬とのことなのだから。