刺すような陽射しを受け、蝉の声を聞きながら思い出すのは、気味が悪いほど完璧に白で統一された病室の壁、シーツ、カーテン。
そして、蒼白な顔でベットに横になる親父の姿だった。
鉄鋼職人だった親父が倒れたのは、高校の卒業式当日の朝だった。
原因は、酒だった。
思い当たる節がありすぎて固まる俺に、医者は追い撃ちをかけるようにもう危ない、と言い。
呆然とする俺の顔を見て、親父は細かい皺が幾つも刻まれた顔をくしゃくしゃにさせ、そんな顔するんじゃねえと笑い、言った。
――二十歳になったら、一緒に酒を飲むって決めただろ。
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