ひとつ息を吐き、墓前にどかりと胡座をかく。

殆ど手入れのされていない墓をぼんやりと見つめる。
真上から照らす真夏の日が、その汚さをより一層際立たせていた。


周りから取り残されたように寂しげなその姿に


何故だろう、何となく

そこにまだ、あの笑顔がある気がして


無意識のうちに口が開き、ぽつりと零れ落ちた。




「…久し振りだな、親父」



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