その場所までの道程は、以前にも一度来たことがある為しっかりと脳にインプットされていた。
目に映るもの全てが、同じ色、同じ形。
二年前と何一つ変わっていない風景の中を、歩く。
頬を伝う汗を拳で拭い、熱い息を吐き、目的のものの前で足を止めた。
見ると、誰がいつ持ってきたのかわからない菊が一輪、だらりと枯れて首を垂れていた。
その姿に嫌な解釈をしそうになる自分を振り払い、かさかさに渇いたそれを鷲掴みにし、後ろに投げ捨てる。
代わりに、あの顔には気持ち悪いくらい似合わないが、生前やたら好きだと言っていたデイジーの花をさした。
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