「───って台詞、最後に言えただけでもう満足だよ」

「へ? ・・・・あ、ああ、そう・・・・なんですか。満足・・・・ね、満足」

「うん」


小春さんのこと、だよね。

うんうんそうそう、分かってる。

あたしに言ったんじゃないってことくらい、最初っから・・・・。

けれどドキッとしたものはもう取り返せなくて、あたしはそれをすぐにはうまく処理できなかった。


そういえば・・・・。

前にもあったなぁ、先生に顔を近づけられてドキッとしたこと。

王子の手を握ったときも、今みたいにドキッとしたっけ。


・・・・っていうことは、はっ!

あたしって根っからの浮気性の持ち主だったりしちゃうのか!?

あっちでもこっちでもドッキドキしちゃってさ、いつか『ドキドキの大安売りかー!』って言われちゃうかもしれない。


「・・・・先生、さっきは言いすぎました。ごめんなさい」

「はっ? なに、いきなり」

「女子の気持ちが分からなすぎ、とか。あたしだって女子のくせに分かんないもん」


浮気性なんて最悪だぁ。