「見てみろよ。」

イトーはそう言って携帯を誠に差し出した。

ドクンドクン。

イトーの携帯の画面に写っているものは…。

大きな満月の中を飛ぶ魔女。

月光によってシルエットしかわからないが間違いなくglasses witch=綾香である。

…コレはマズイな。

っていうかヤバすぎるだろ。

「どうよ。スゴすぎて声もでないか?」

誠はそれどころではないがイトーのニマニマした顔が脳裏に確りと浮かび上がる。

「これは間違い無いよね。黒岡君。」

千草までも目を輝かせている。

誰も知らない怪盗glasses witchの姿をシルエットとはいえ記録に残したのだ。無理もないと言えば無理もない。

「これ何?」

もちろん誠にはその画像がなにを意味するかわかっている。

「なに、って決まってるだろ。glasses witchだよ。」

ふーん、と誠は興味無さげに相づちを打ってはいるが心臓の鼓動はどんどん速くなって行く。

「コレについてお前の姉さんはなんて?」

こんな画像、簡単には信じられないだろうが、実際はれっきとした真実である。

当然、警察の人間に見られていたら…マズイ。