二人は誠を密度の高い聖域で包み込む。

それで誠の存在自体を常識の枠の中に押しとどめることが出来れば、悪魔にとり憑かれることはない。


二人がソレを始めてから数分……。

誠の体はその存在を取り戻し、とり憑いていた影もほぼ消え去り、容体としてはもはや安全圏と言ってもいい状態になっていた。

「悪いな、…千草。」

幸政が口を開き、聖域を消す。

もう誠は大丈夫だということだろう。

しかし、千草には幸政の謝罪が何を指しての謝罪なのかも分からない。


「コイツが起きたら全部話すからよ。」

「…えぇ。」

幸政は誠を抱え、立ち上がった。