しなやかな腕の祈り

「ゴメン望美、また電話するわ。脇腹痛くて」



あたしの言葉に望美は"仕方ないな"と言った表情で笑った。

車まで歩くのもきつかったけれど、家に帰れなきゃ話にならないから、あたしは早足で駐車場を歩いた。

空が高くて空気が澄んでいて、怪我さえしていなければ缶コーヒーでも買って、空を眺めながら途方に暮れたいくらいだ。

車に乗り込み、エンジンをかける。

エアコンを強めにかけて、きいてくるのを待っていたときだった。





コンコン






窓を叩く音に助手席側の窓を振り返ると、そこにいたのは隆弘だった。



「おう」



右手を軽くあげて、隆弘はガチガチ震えながら笑っている。



「電話かけたんやけどさ、出やんかったから」



助手席のロックを外しすと、隆弘はそう言いながら乗り込んできた。



「練習場所、知ってたんだねぇ」



知ってたからって、普通来るか???

不思議な気持ちになりながら煙草に火をつけた。



「お前んとこの叔母さんに聞いた。家行ってみたら車もないし…勇気振り絞って、聞いてみた」



溜め息が出た。

どんな理由があって、そんなにあたしを探しているのかも謎だ。

…まぁ、そこまで探してもらって嫌な気もしないけど。