しなやかな腕の祈り

息を吐いた後に来る猛烈な脇腹の痛みに、頭がおかしくなりそうだった。

だけど、あたしの頭は、体は…止まらないんだ。

お母さんが見てくれる舞台だから、と言うのも確かにあると思う。

それと…皆が寄ってたかってあたしにひた隠しにする"何か"の正体を考えるのを止めたいと、そう思っている自分がいるからというのもあるだろう。



「着替えてるのにゴメンね」



突然ドアが開いて、美佳さんが顔を出した。



「舞台のことなんやけど」



眉をひそめて話す美佳さんの言いたいことが何となく分かる。



「会場の都合でね、発表の日時が遅れました」



やっぱり、とあたしは溜め息を漏らした。

あたしたちが最初に知らされた日、その日会場で市議会議員の講演があるとかで、あたしたちの舞台が一週間ずれたのだ。

お母さんには連絡すればいい事だし、練習時間も増えるのだから、あたしにしてみれば好都合だ。



「市議会議員なんか後にしとけばいいのにぃ」



と、望美は膨れていたけど舞台が中止になったのではないのだから、別にどうでもいい。

望美とも話したい事は色々あったけれど、更衣室も混雑してきていたし何より脇腹が痛くて、早く帰りたい気持ちでいっぱいだった。