しなやかな腕の祈り

「あり得ねぇ」



そう言った途端に笑いが込み上げてくる。



「ってか、あたしそんなん
別にどうでもいいし!!!!」



爆笑しながら、その時はそう言えた。
隆弘もつられて笑って
あたしたちはまた飲んだ。


飲んで飲んで飲んで
あたしたちの時間は過ぎていく。










「あ-気持ち悪…」



飲酒運転の取り締まりが
異常なまでの厳しさゆえに
あたしたちは居酒屋を出てから
車の前でミネラルウォーターの
2literペットボトルを抱えて
酒を抜きながら座り込んでいた。

今日は本当に飲み過ぎてしまった。



「あたし、お母さんみたい」



そう言ったら、また笑えてきた。



「多嘉穂のお母さんって…
スペインにいてるって言う??」

「そう、スペインにいてるお母さん。
めっちゃ酒飲みでさぁ、毎晩一人で
ワインやら焼酎やらビールやら
バンバン開けて一人で酔ってんの」



そんなお母さんの事を話すあたしを
隆弘は優しい顔で見つめて
話を聞いていてくれた。



「プロダンサーだから…
海外公演とかで最近なかなか
連絡も取れないけどね。」

「多嘉穂さあ、父親の記憶ってある??」



質問は唐突だった。