『テヤンデェ、コンチキショーーッ!』

散開して特攻を試みた「づぼらや」フグを、トーチの横薙ぎの一撃が襲った。


パァンッ!


その猛威の前に、成す術も無く破裂するフグたち。


『……フフフ。この「自由の女神」の戦闘能力を、舐めてもらっては困るな。

フグとは違うのだよ!フグとはっっ……!!』




通信で入ったエージェントの言葉にオッサンが怒った。

「くっ………このオタクめっ!『どっかの戦馬鹿の職業軍人』みたいなしゃべり方してんちゃうぞコラァっ!」


……だから、アンタもチョイ前に似たよな事言ってたから!忘れんなよ!



ならばと、足元から急襲した「かに道楽」のカニたちも、


『ベランメェ!コチトラ江戸ッ子ディッ!!』


グシャッ………!!


丈夫なサンダル履きからのストンピングでバラバラに破壊され、カニ味噌を撒き散らしている。もはや、楽天市場のワケアリ商品でも取り扱えないほどのダメージだった。


「ぐぬぬ…………おのれっ!『ゴーストバスターズ』じゃあるまいに!何と非常識なっ!!」

今まで自分のしてきた非常識を100万光年向こうに忘れたオッサンが叫んだ。

……いや、そもそも、『ゴーストバスターズ』は30代じゃないとキツいし………。

『ハハハハハ………。君たちがあのマシュマロの化け物より歯応えがある事を願っているよ!』

例のエージェントの声が再び聞こえる。

「………奴め、あの自由の女神の頭に……!」

カメラが自由の女神の頭部をズームする。確かに、頭部にダークスーツの男がいた。

「………せやけど、何で自由の女神が江戸弁なんや?」

「決まってるだろう。本物では何かとマズいから、お台場のヤツを使って、奴らも『笑力』の研究を密かに行っていたのだよ!」

「ほ、ホンマかいな?!」

今頃、東京は大騒ぎに違いない!

…………とにかく、

「も、もう、何も無いんかいっ?!」

俺も、ついさっきまでいがみ合っていた事を忘れ、オッサンに詰め寄る。

「無いことは、無い………。」




.