窓を開け放しているせいで、桜の花びらがひとひら、部屋の中までひらひらと迷いこんできた。

繭が生まれてから、二度目の春。

私はその花びらを掴もうと頼りない足取りで、窓の外へと近づいていく。

彼女らとはまた違うピンク色をした小さな手のひらが宙を舞う。
まだ、今の私には掴めない。

視線が、明るい春の空を泳ぐ。