「……でも、食料もなにもかも、流されちゃったし……」

そもそも野宿するつもりなんてしてなかったし、と弱気な反論をするキルトだが、ルーチェは全く聞く耳をもたない様子だ。

「……どうする?」

2人の口論(というか、ルーチェの一方的言い分)を少し離れて眺めながら、アシュレイはエリードに囁く。

「こども2人で放っておくわけにはいかないしさ」

彼らはこの先のアゼリアで宿をとるつもりでいたのだが、キルトはともかく、ルーチェがその案に乗るとは思えない。

かといって、武器ももたない2人を、ここに置いていくわけにはいかない。

「付き合うしかないね……」

エリードは肩をすくめ、キルトを言いくるめにかかっているルーチェに向かって、

「ここに泊まるなら、僕らも一緒でいいかな。朝になったら、町まで送るよ。なんなら、リュオまで付き合っても構わないし」

と、そう声をかけた。