少し暗くなり始めた空に、エリードが放った火の精霊=リオ・フィーリアが、ちろちろと揺れ動く赤い光を放っていた。

苔に覆われた石板を熱心に見つめるルーチェに命じられ、精霊は、彼女の手元を中心に明るく照らしている。

そのため、彼らは自然と、皆で石板を取り囲む形に座っていた。

「……キルトも、大変だね」

「そうなんだよ……ルーチェったら、いつもこうなんだ……」

そんなことをあくび混じりに言い交わす、男3人。

そんな愚痴など聞こえない様子で、古い紋様をじっと見つめながら、時折ニヨニヨと楽しげに笑うルーチェ。

こうして、4人の長い夜は更けていった。