「…うん、連れてって。」
私から、坂上くんを消して。生徒に戻して。
『わかった。そこスゲー旨いから期待しとけよ?』
「うん。期待してるね。」
『美加今どこ?』
「学校だよ、補習あって。」
『そう、じゃあ…』
「でも午前中に終わるから、私行くよ。」
『わかるか?場所。』
「余裕!」
そう答えるとそっか、と章は穏やかに呟いた。
『じゃあ、またな。』
「うん。…ランチ楽しみにしてるね。仕事頑張って。」
『美加こそ、頑張れよ。』
そう優しく言って、ぷつりと電話が切れた。
携帯をスカートのポケットにねじ込み私は教室に入る。
「ごめんね、坂上くん。」
「いいって。」
謝る私を見ずに、淡々と辞書のページをめくる坂上くん。
「…男?」
視線を移さずに私に疑問符を投げ掛ける坂上くん。
「え?」
「電話、男から?」
どきん、と心臓が跳ねる。
どうしてそんなこと聞くの?


