私は章との会話を坂上くんに聞かれたくなくて、廊下に出た。クーラーがない廊下はやっぱり蒸し暑い。
「なに?」
『いや、美加元気かなって。』
「元気だよ。章は?」
『元気元気。』
明るい章の声を聞いて私は再び思うのだった。
章をまた好きになれば、いいのに…って。
坂上くんを愛しく思うこの心が、苦しくて。私はそう思ってた。
『美加?』
「ん?」
『元気ないね?』
穏やかで優しい、章のその声。
「そんなことないよ!ただ、暑いからちょっと…。」
『確かに、暑いね。今日は真夏日になるって。』
「そんな!」
溶けちゃうよ、そんなの…
『はは、美加は暑いの苦手だもんな。寒いのも。』
「みんな苦手だよ。」
『はは、確かに。…美加、今日一緒にランチ行かない?』
「え?」
『この前言ったろ?先輩に教えてもらったとこ。』
ああ、あの日言ってたっけ。


