「なに先生、照れてんの?」 そうニヤリと笑って私の顔を覗き込む。 「そっ、そんなわけないじゃない。」 「ふーん。さっきより顔赤いよ?」 そう言って私の顎を掴む。 「ばっ…先生からかうんじゃないの!」 そう言い、彼の腕を掴んで私の顎から離す。 「もう、遅いから早く帰るのよ?」 そう言い残して私は逃げるようにその場から離れた。 六つも歳の離れた生徒にドキドキする自分が恥ずかしくて、このドキドキが勘違いであることを願ながら走る帰り道が、いつもより長く思えた。