サァァァァ…… 春の静かな雨は、優季の冷たい涙雨… 本当にどこに行ったんだ… ヒュゥゥゥ…… 突風のような強い風が雨を巻き上げ、容赦なく服を濡らす。 たまらずコンビの軒下に入り、ハンカチで拭こうとすると、 手の甲に白っぽい何かがくっついていた。 何だろう……? よく見ると、 …………!!! 「さ、桜の…花びら」 もうこの辺の桜はとっくに散ってしまって、花びらだって残っていないというのに… まさか… 「真人さん…」