突然のことで、途方に暮れていると、
『あーあ、
“ゴッドハンド香月”に頼まれたら、普通嫌とは言えないわよねぇ…
仕方がないなぁ…
野島、明日は当直に変更よ。
私がアンタの代わりに日勤出てあげる。
師長には私から言っておくから。』
主任の恩着せがましい口調は、病み上がりの私に負担をかけないためにわざと言ってくれているのは、長年の付き合いでわかっている。
「すみません…」
私の言葉に、主任はフフッと笑うと、
『アンタの性格からして、彼のことが気になるからって、頼まれなくても付き添ったんじゃないの?
それにしても、桜庭さん、どこかで会ったような気がするんだよね。
顔じゃなくて、何となく雰囲気が…ッ』
言いかけて、何かに気づいたのか、突然口をつぐんだ。

