勇輝はハッとして私を見た。
少し冷静さを取り戻したのか、
『桜庭…桜庭響(サクラバヒビキ)…歳は俺と同じ24歳だ。』
そう答えるとすぐに視線を響…桜庭さんに戻した。
恐らく勇輝にとって、
桜庭さんは、大切な人のひとりに違いない。
「桜庭さーん、聞こえますかー?」
声をかけると、ネクタイを緩め、シャツの第一ボタンを外した。
桜庭さんは目を閉じたまま微かに頷くと、
『……大丈夫。ちょっと疲れただけだから…』
そう言うと、ゆっくりと目を開けた。
意識はクリアーで、熱はない。
でも、かなり体が衰弱している。
病院に搬送しようかどうしようか…
微妙なところ。

