その後、彼は私でも知っている曲を2曲、アンコールで1曲を演奏し、彼のライブが終わった。
彼の演奏は、素人の私にもわかるくらい、繊細で優しくて素晴らしいものだった。
勇輝は、彼のことを知っているみたいだけれど、
私も彼…響という人に何処かで会ったことがあるような気がする。
以前から知っているような気がする。
客席から惜しみない拍手と歓声が贈られると、彼は椅子から立ち上がり、ちょっと恥ずかしそうに笑みを浮かべた。
いよいよ退場するようだ。
彼が通過したら、勇輝の手を離して出口にダッシュして、エレベーターに乗り込む…
何度も何度も頭の中でシミュレーションを繰り返した。

