ううん、そんなことより、
今を逃がしたら、演奏が終わるまで帰れなくなる。
えぇい!
イケメンピアニストさんには悪いけど、強行突破させてもらうわよ!!!
『野島、ちょっと待ちなさいよ!』
止めに入る洋子主任を振り切り、一歩踏み出そうとすると、
『響…』
勇輝の小さく呟く声に足が止まった。
小刻みに体を震わせ、怒りと悲しみを帯びた勇輝の表情、
そう、私からパソコンを取り上げたあの時と同じ…
そんな勇輝を見ていると、何だか胸が締めつけられるように痛くなる。
勇輝は、この人のことを知っているの?
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