「何だか勇輝らしくないわね。
どうしちゃったの?」
ベッドから出た私は勇輝の隣に並ぶように立つと、窓の外を見た。
最上階にある特別室からは、葉桜となった桜並木が夕日に照らされ、遥か下に小さく見えた。
『冷えてきた、ベッドに戻ろう。』
私は勇輝にベッドへと押し戻された。
『ちょっと良くなったからって油断すると、また熱が出るぞ!』
ベッドサイドの椅子に座った勇輝の笑顔が痛々しい。
いつもの嫌になるくらいの自信はどこにいっちゃったのさ?
『あぁぁぁ!!!
やっぱり俺らしくないよな?』
そう言うと、ぐしゃぐしゃと頭を掻きむしった。

