病室には、私と勇輝…ふたりだけが残された。
いつもだったら、犬みたいにしつこくじゃれついてくるのに、
勇輝は黙ったまま、夕日の射す窓から外を眺め、こちらを見ようとはしなかった。
何だかとても空気が重いんだけど…
声をかけようにも、言葉が見つからなかった。
もぉぉぉ!!!
どうしちゃったのさ!!?
『真人さんは、優季が本気で好きになった人だけあって、すごい人なんだな…人間としての器が違いすぎる。俺はまだまだガキなんだって思い知らされたよ。』
窓の外に視線を向けたまま、ぽつりと呟くように言葉を発した勇輝の背中が、今にも泣きそうで、とても弱々しく感じられた。

