私の声が聞こえたのか、お母さんはゆっくりとした足取りでベッドサイドまで来ると、側にある椅子に座った。
『ごめんなさいね、起こしちゃって…調子はどう?』
私に尋ねるお母さんの表情は、サロンで会った時のような冷たさはなく、優しさの中に不安が見え隠れしていた。
子供の頃、病気になった私に『大丈夫』『早く元気になって』と、励ましてくれたあの時と同じ…
「はい…だいぶ楽になりました。ご心配おかけしてすみません。」
お母さんは、私の額と頬に触れると、
『良かったわ、熱が下がって………ごめんなさい、事情があったとはいえ、あなたに辛い思いをさせてしまって…』

